新しいホラー
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月19日 15時40分
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総合評価:
4.0
スウェーデンの夏至祭を舞台にしたホラー映画です。ポスターやプロモーション画像は色とりどりの花で彩られ、まったく恐怖感は煽られませんが、映画では明るい世界観のなかでもこれだけ怖くできるのかと感心しました。今までホラー作品は多数制作されていますが、また新しいホラー作品となっています。
大学生のアニーは精神的に不安定でしたが、家族の不幸によりどん底に陥り、頼れる人は恋人のダニーのみ。しかしダニーはそんなアニーの相手を重荷に感じており、別れを切り出したくても彼女の状況を考えると切り出せずにいました。そんな時ダニーの大学の友人から故郷のスウェーデンの夏至祭に誘われ、友人たちとアニーと一緒に参加します。
監督のアリ・アスターは自身の失恋の経験をもとにこの脚本を考えたそうです。アニーも気の毒に思いますが、ダニーも完全に悪いかといわれると気の毒でそこまで憎めず、散々な仕打ちに同情します。最終的には閉ざされたコミュニティの中でアニーは女王となり、光悦したアニーの表情で幕を閉じます。本人が救われるのであればカルト宗教の中で生きていくのも良しとしてよいのか、残酷な世界でもカルト宗教から抜け出すべきなのか、自分の中での倫理観が揺らぐ作品でした。