傑作!
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月21日 15時16分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
2020年屈指の作品でした。
細かい感想を書き並べるのもおこがましいのですが、中世?の女性同士の恋愛をベースに、登場する主人公2人の繊細な感情の変化を楽しめる作品になっています。
絵描きの主人公が、ある上流階級の女性に、娘の見合い用の肖像画を書くよう頼まれると言うお話ですが、登場する2人の視線の動き、そしてその目で見たものとはなんなのか、この時の人物の気持ちはどう言ったものなのか、これらを考えているだけであっという間に時間が過ぎ去っていきました。
この話の中に出てきて、物語の重要なキーとなってくるのが神話の「オルフェウスの冥府下り」です。
奥さんを亡くしてしまったオルフェウスは冥界に行き、奥さんを返して欲しいと冥王ハデスにお願いするのですが、ハデスは「冥界から出る時、決して振り返らずにいれれば、妻は帰ってくる」と言われ、その通りにするのですが、出る直前、本当に妻が帰ってくるか不安になり振り返ってしまい、妻は帰ってこなかった。という悲しいお話で、この話を聞いた登場人物たちはそれぞれの意見を交わすことになるのですが、それぞれがどのように考えていたのか、これを注意深く見ておく必要があるかと思います。
この話をどう考えるかによってラストの迎え方をどう捉えるかが変わってくるはずです。
見終わった後誰かと話したくなる、人によって意見が分かれる良作だと思います!