少女ふたりの夢が災厄を呼び寄せる!
2020年8月23日 15時56分
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総合評価:
5.0
実話ベースの映画で、「ロード・オブ・ザ・リング」三部作をのちに撮影することになるピーター・ジャクソンが監督をつとめています。
夢見がちの少女ポーリンとジュリエット。ふたりは互いの創作で「美しいものだけが住むことが出来る」ボロニア王国を創り上げます。ボロニア王国ではふたりは美しい姫や王子の設定を楽しみ、互いを無二の親友とするのです。
ところがあまりのふたりの仲の良さを心配したふたりの両親たちは、彼女たちの友情を「同性愛」として認識し、ポーリーンとジュリエット会うことを禁止してしまうのです……。
ふたりの想像上の王国と現実が混ざり合う奇妙な世界が見ている側にも侵蝕してきます。ふたりはこの空想の中では世にも美しい少女たちであり、満たされた存在なのです。思春期にありがちな創作に「自分にもそんな時代があった」と思い出す人もいるでしょう。
「同性愛」が絶対的タブーであるのは、彼女たちがキリスト系学校に通っていたという背景もあります。それでなくても昔の出来事ですから、両親はさぞかし心を痛めたでしょう。しかしそれ以上に心を痛めたのは、ポーリーンとジュリエットでした。このために彼女たちは「ふたりの愛のために両親を殺そう」とまで決めてしまうのです。
思春期の少女の空想が、意外な方向へねじ曲がっていく過程は見ていて恐ろしいものがあります。でもはかなげで美しい……。本来であれば、笑ってすますことの出来る過去となり得たはずなのに、純粋だからこそ恐ろしい方向に向かうという怖さが感じられます。
実際の出来事だったという点も、驚きのポイントと言えるでしょう。