希望を捨てない勇気
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年10月8日 12時59分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
主人公のアンドリューは妻とその愛人を殺した、という罪で刑務所に収監されることになります。
ただ、彼は実際には殺していません。殺意はあり、殺そうとしたところ既に殺されていたのです。
状況証拠で殺人の罪を背負うことになったアンドリュー。
刑務所での暮らしは大変厳しいものでした。
性的な暴行もあり、全体的に荒れているのです。
そんな中で元銀行員だった才能を活かして自分の刑務所内での立場を優位にするところが面白いです。
図書係として活動し、元々は荒れた部屋だったところに本を沢山置くシーンも素敵。
なんといっても圧巻なのは脱獄シーン。
彼は自分の房の壁に少しずつトンネルを掘り、そこから脱出してしまうのです。
その解放されたシーンがとても壮大で美しく描かれていました。
最後の方で、物語の語り手で、アンドリューの刑務所仲間だったレッドの姿もいいです。
彼は仮釈放され、それ専用のアパートに入ります。
かつてそこでは同じような人物がメッセージを書き残し自殺していました。
その横に「自分もだ」というようなメッセージを残し、レッドは「死」ではなく「自由」を選ぶのです。
絶望的な状況の中でも希望を見出していく物語です。