サミーが自分で8ミリフィルムを撮影するシーンでは、スティーブン・スピルバーグは、彼が子供時代に作ったものをそのまま再現させることにし、撮影監督のヤヌス・カミンスキーと協力して、できるだけ正確に、しかしカメラアングルは改良して描かれるようにしたのです。本作で描かれた作品には、ボーイスカウトの仲間と写真功労賞を得るために作った西部劇の短編映画、学校のいじめっ子を主役に起用して自分の恐怖に向き合わせた戦争短編映画『Escape to Nowhere』(1961)、セシル B デミル監督の『地上最大のショウ』の列車事故シーンをスピルバーグ監督が再現したものなどがあります。「これらの映画を再現できるのは喜びでした」とスピルバーグは発言しています。「子供の頃、8ミリフィルムでたくさん撮りました。当時はユニークだった。8mmで撮影する人はあまりいなかった。スプライサーを持ってそこに座り、フィルムを密封するために乳剤を削り取り、接着剤を塗ると、文字通りフィルムが接着されるんです。それが懐かしくてね。」
この映画の開発は1999年にさかのぼる。スティーブン・スピルバーグは以前から自分の子供時代を描いた映画の監督を考えており、当初の構想では「I'll Be Home」というタイトルがつけられていた。妹のアン・スピルバーグ(本作のレジー・ファベルマンというキャラクターにインスピレーションを与えた)が書いた脚本をもとに監督されるはずだった。
映画監督の幼少期や青年期を舞台にした同様の映画がこのところ相次いでいる中、2022年に本作は公開された。同様の作品には以下がある。 マイク・ミルズの『20センチュリー・ウーマン』(2016年)、グレタ・ガーウィグの『レディ・バード』(2017年)、アルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』(2018年)、ジョナ・ヒルの『Mid90s ミッドナインティーズ』(2018年)、クエンティン・タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)、ケネス・ブラナーの『ベルファスト』(2021年)、パオロ・ソレンティーノの『Hand of God 神の手が触れた日』(2021年)、ポール・トーマス・アンダーソンの『リコリス・ピザ』(2021年)、リチャード・リンクレイターの『アポロ10号½』(2022年)、ジェームズ・グレイの『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』(2022年)。