知的で、残酷で、たまらなく魅力的。
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月23日 18時57分
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総合評価:
5.0
猟奇殺人事件をモチーフにした背筋の凍るホラームービーなのに、アカデミー賞5部門受賞の今作。
しかも1本の映画で主演男優賞・主演女優賞をダブル受賞だ。
30年後のいま見返しても、主演二人の奥深い演技がとにかく素晴らしい。
映画中盤の有名な脱獄場面。レクター博士は巨大な檻に入れられている。まるで動物園の猛獣扱いだ。
心から芸術を愛する博士。カセットテープのクラシック音楽を堪能している最中に、無粋な他人に邪魔されたら、そいつは博士に痛い目にあわされて当然なのだ。
アンソニー・ホプキンスの名演によって、観客は異常人格殺人者のレクター博士に完全に感情移入してしまう。危ない(笑)。
「羊たちの沈黙」シリーズ続編ではジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアにクラリス役が引き継がれたが、やはりフォスターのクールな美貌と血塗れの残虐場面がバランス良く配置された一作目が至高だろう。
サイコサスペンス映画史上、誰よりも知的でチャーミングで残酷なジェントルマン。レクター博士は観客の心の暗闇で永遠に微笑み続ける。
イメージワード
- ・泣ける
- ・不気味
- ・恐怖
- ・絶望的
- ・知的
- ・かっこいい