キャスティングが惜しい作品
2020年9月1日 01時52分
役立ち度:1人
総合評価:
4.0
推理物はあまり観ないのだが(犯人を当てられたためしがないから)、この映画はなかなか楽しめた。刑事の新田(木村拓哉)とホテルマンの山岸(長澤まさみ)、それぞれの視点や考え方の違いによる衝突からホテルマンという仕事を通してお互いを理解していく様子、そして理解したからこそ起こるクライマックスの一幕、という流れは素晴らしい。
特に印象的だったのは、山岸のホテルマンとしてのある行動が度々クローズアップされていたシーンだ。それは一見彼女の仕事意識の高さとそこからくる新田への些細な小競り合い、という風に感じとられ、観客もそれほど重要な描写だとは思わない。しかし、その行動を何度も見ていた新田が後にある重要なことに気が付く。山岸と接していなければ、新田はその異変に気が付くことはきっとなかっただろう。
一見何でもないシーンが実は重要な伏線へと繋がるところは、観ている観客も新田と同時に気が付き、戦慄が走る見どころのシーンだ。
ただひとつ残念なのは、犯人役が有名かつ声に特徴がある役者だったため、わかる人には最初に登場した時点でわかってしまうところだろうか。
その方の演技は大変素晴らしかっただけに、非常に残念だ。