食事で恐怖感が伝わってくる他にない恐怖表現が超怖い!
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月31日 15時01分
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総合評価:
5.0
スティーブン・キングの小説が原作の1990年公開の映画です。
内容はサイコサスペンスで、この映画でアカデミー主演女優賞を取ったキャシー・ベイツの演技がとても良いです。
売れっ子小説家ポール・シェルダンは、いつも小説を書くときに使うコロラドの山奥のロッジに行き、小説を書き終え帰ろうとしますが、ひどい吹雪に見舞われ、愛車のムスタングと一緒に山から転落します。
ポールが事故から目がさめると、自分は1番のファンで、アニー・ウィルクスと名乗る看護師の女の家のベッドで目が覚めます。
両足、右肩から腕にかけて、全身あちこちひどい重症ですが、彼女の熱心で的確な治療により一命をとりとめました。吹雪のため病院には運べず、電話も繋がらない状態になっていると言います。ここでの彼女との二人っきりの生活が始まるのです。
彼女はなかなかの料理上手で、雪深い山奥だからなんだろう缶詰や瓶詰めの保存食を生かしたであろう料理が出てきます。
ポールが看病を受けている間に、ヒット作のミザリーシリーズの新作が出たらしく、街に買い物に行って帰ってきたアニーはそれは嬉しそうに新作のミザリーを手に帰宅します。
この日の昼食も美味しそうで、トレーに花まで添えて、アニーは「ウィルクス風スクランブルエッグよ」と自慢気に出してきます。
よく焼いたスパム、ケチャップのかかったポテトフライ、野菜たっぷりで彩りの綺麗なスクランブルエッグ、ゼリーに赤いジャムがたっぷり乗ったトーストとオレンジジュース。
しかし、その晩ポールが寝ていると彼女が恐ろしい形相でベッドの前に立っていて、「よくも、なんてことを!彼女を殺したわね!」と言って怒り狂い、ヒステリーを起こして家具を壊します。物語の結末でミザリーが死ぬのを知ってから彼女は変貌するのです。
次の日は朝も昼も食べさせてもらえず、ようやく出てくる夕飯もそれまでの食事とは一変、質素で粗末な内容に変わります。
監禁されたポールは、無理やりミザリー復活編の小説を書かされ、ミザリー復活祝いに作る彼女のミートローフはそれは美味しそう。ワインも蝋燭も出してお祝いします。
ポールが褒めると「生のトマトを使うのがコツよ。それと缶詰の肉とひき肉を混ぜてあるの。」と教えてくれます。
怪我をして身動きできないポールが車椅子で抜け出そうとする姿は、見るものをハラハラさせます。雪深い環境やヒステリックなサイコ女のアニーが恐怖をより一層煽ります。
アニーの作る美味しそうな料理がさらに恐怖に色を添えるのです。
こんなに食事で怖さが伝わってくる映画は他にはないと思います!
そして、この1人の女性のファンの心情から来る恐怖感がとてつもなく面白い!
本来力では男性より弱い、ただの太っちょの女性なのに、それがめちゃくちゃ怖いんです。
モンスターでも、エイリアンでもお化けでもゾンビでもなく、ただ一人の女性の心の浮き沈みにただただ恐怖するのです。。