オッペンハイマー
第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。
「インセプション」「テネット」などのノーラン監督作品で、さらに上映3時間もあるということで、かなり身構えて観に行った。 「テネット」のようにチンプンカンプンだったらどうしよう⁉と心配もあったが、事前情報も少し頭に入れてから視聴したので、自分が思っていたよりは難解には感じなかった。 ただし、登場人物も多くて名前は覚えられないし、誰が何者かという説明もなく、会話から察するしかないので、そこは初見で全てを理解するのは不可能だと思う。 また、時間軸も説明なしにコロコロ変わる。 モノクロ映像だったり、服装や見た目で判断はできるが、ここもかなりややこしい…。 あとは、オッペンハイマーがスパイ容疑をかけられた件(聴聞会など)が意外と映画の大部分を占めていて、ここももちろん説明なく始まるので、最初は何をやってるんだろう?となった。 基本、会話のシーンがほとんどで、話を理解するために3時間ずっと頭を働かせないといけないので、上映後はまぁまぁの疲労感だった。 で、観たあと最初に思ったのは、なんでクリストファー・ノーランはこれを撮ったんだろう? オッペンハイマーを題材にした映画、ノーランが撮らなくてもよくない?? と感じてしまった。 確かにオッペンハイマーという人物の人間性だったり、パーソナリティーという部分はとてもよくわかる作品ではあった。 が、その他の部分が説明不足すぎて、一回観ただけでは自分含めた一般の人には伝わりにくい。 このわかりにくさはノーラン監督の作家性だから仕方ないが、原爆を開発したオッペンハイマーという人物の物語を描くのであれば、もう少し一般の人にわかりやすくするべきだと被爆国の人間としては思う。 そして、よく言われている原爆描写が不十分という指摘。 自分も正直、それを少し感じてしまった。 あくまでオッペンハイマー視点、当時もちろんオッペンハイマーが実際の原爆投下を目撃したわけではないので、そこは描かないという理由もわかる。 ただ映画では、オッペンハイマーは頭の中で原爆の凄惨さを体感してしまう。 そこの描写は、「はだしのゲン」などを見て育った自分からするとやっぱり弱いなぁと…。 まぁ「はだしのゲン」のような原爆投下直後の被爆者を実写で描くのはいろいろ難しいだろう…。 なので、そこはもう直接的に当時の写真などを使って見せても良かったんじゃないかと思う。 その方が原爆や被爆の残虐性が海外の詳しくない人たちにもより伝わるし、後のオッペンハイマーの苦悩も観客がより共感できたと思う。 総じて、悪い作品とも思わなかったし、正直アカデミー作品賞を取るほど良かったとも思わなかった。 個人的にはノーランの「オッペンハイマー」より、スピルバーグの撮った「オッペンハイマー」を観てみたかった…。
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