北野作品のエッセンスが凝縮されたデビュー作
2021年9月23日 09時21分
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総合評価:
5.0
北野武監督・主演の第一作。
荒削りであるが、北野作品の魅力が凝縮され表現されているので、彼の作品に関心がある方にぜひおすすめしたい。
この作品には北野武の狂気、暴力性といったものが余計な説明抜きに盛り込まれている。
また、冗長な説明的な部分を削ぎ落した「省略の美学」といったものも伝わってくる。
監督本人が演じる主人公(演者名は「ビートたけし」となっている)我妻は、捜査過程でためらいなく暴力を使う狂気を帯びた存在である。
冒頭からの彼の日常を描いたシーンから、我妻がどれだけ危険な人物かが端的に表現される。
その吾妻刑事と敵対するのが、麻薬密売組織の用心棒である清弘。白竜が演じているが、こちらも狂気の漂い方が半端ない。
毒をもって毒を制すともいうが、我妻刑事と殺し屋清弘の凄惨な対決劇がストーリーの中心となっていく。
暴力シーンも多いのだが、必然性があり過剰さを感じない。
スピード感あふれる 展開、配役やロケ地の適確さ、短いが効果的なセリフの数々。どれをとっても北野映画の魅力を十分に味わえる。