裁判の判決では事実はわからない
このレビューにはネタバレが含まれています
2024年3月18日 17時23分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
多くの人が言及しているとおり、事件の真相が明らかになるようなサスペンス映画ではないので、そこを期待してしまうと2時間半痛い目にあう。
最後まで本当に起こったことがわからないぶん、当事者ではない人から見た「裁判」とはこういうものかと深く考えさせられた。
裁判で判決が出ようと、それが事実とは限らないし、実際に何が起きたかは第三者にはわかりようがない。
このへんがとてもリアルに感じた。
そしてそれは、事件の夫婦の子供であるダニエルも同様で、事実がわからないまま、この先ずっと生活していかなければならないのである。
だからこそ、最後のダニエルの表情から何かを受け入れたような、決断めいたものを感じてグッときてしまった。
このダニエル役の男の子をはじめ、キャスト陣は素晴らしかった。
なかでもやはり、母のサンドラを演じたサンドラ・ヒュラーの演技は見事。
とくに、夫婦げんかのシーンは圧巻で、本物の夫婦間の口げんかにしか見えない。
日本の役者であそこまでリアルに演じれる人はいるだろうか…。
個人的にアカデミー主演女優賞は、エマ・ストーンよりサンドラ・ヒュラーを推したい。
あとは、検事役の坊主頭の男も憎たらしくてすごく良かった。笑
総じて、とても見応えのある映画で最後まで興味深く鑑賞できたが、必然的に法廷シーンが長く、裁判でのやりとりを字幕で追うのがけっこう大変で、見終わったあとはドッと疲れた。
せめて2時間くらいにまとめてくれるとありがたい…。