恋愛って楽しいけど辛い。と改めて思う作品
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年9月13日 11時38分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
角田光代さんの作品ということで興味があり、小説も読みましたが、小説のイメージと配役がぴったりはまっていたところがとても魅力的で良かったです。
好きな人の言われるがままに行動してしまう岸井ゆきのさん演じる主人公のテル子、ちょっと頼りなくて無自覚に人を傷つけてしまう成田凌さん演じるマモちゃんはもちろん、特に若葉竜也さん演じる中原君がイメージ通りの人物像を表現していたように感じ、とても良かったです。
そして江口のり子さん演じるすみれも、女性にとってちょっと嫌な役柄にも関わらず、テル子にとっても「嫌いになれない好きな人の好きな人」という女性を、観ていて嫌悪感を感じることなく好演していました。
大みそかの、中原君の「葉子さんは優しいんですよ」というシーンや、後半のテル子とマモちゃんが一夜を共にするシーンは、小説ではテル子がもっとガツガツとしたイメージだったので、抑えられない本能という面でそういう感情剥き出しの描写があれば、テル子により感情移入できていたかなと思う点が少し残念でした。
けれど、好きな人に嫌われたくない一心で感情を抑えた演技であったのかなともとれる、奥深く、印象的なシーンです。恋っていいけど辛い。主人公が好きな人の言動に一喜一憂する姿に胸が痛むような作品でもあります。
ラストは中々自分の元へときてくれない、思い通りにならない好きな人の気持ちを想像し、切ないながら心に残るラストでした。