背水の陣で臨んだ五社監督の再出発
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月10日 12時24分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
オープニングで「嘘!」と驚くこと必須。
題名の鬼龍院家が、凄い。
通称「鬼政」の政五郎が、破天荒な性格なのに、憎めない。表情豊か、喜怒哀楽を体で表現して、まるで少年。
妾2人を家の離れに住まわせて、更に抗争していた料亭のお手伝い、つるも妾にかっさらって来る。
そんなことしながらも、義理人情に厚く、自分の手下の皆んな、慕ってくる者の思いを聞き入れるので、憎めない。
観ていると、「もう!」と言いながらも、鬼政に何かしたくなる典型的なダメ男の魅力が、ダダ漏れ。
妻の歌は、松恵を邪険に扱い、子供として育てようとする気はサラサラない。
でも、それには訳があり…。
妾たちの部屋の前が松恵の部屋。
そんな妾の2人が母親のように接してくれる。
勉強好きな松恵。しかし鬼政の一言。
「女に勉学らぁ要らん!」
しかし、芯の強い少女の松恵は諦めない。
この芯の強さが、後に出てくるあの名セリフを…。
印象的なシーンは、あのシーン以外にも山盛り。
病気がちの歌が腸チフスに掛かると、飛んで帰って来て、命賭けの看病。
松恵と歌のシーンは、泣けてくる。
しかも、溜めに溜めた気持ちを爆発させる岩下志麻の演技には言葉が出ない。
後半の鬼政と松恵のシーンは、涙なくしては観れない。
この映画、他の五社監督作品を観たら、五社監督の映画を観まくってしまう。