イタイけれど愛おしい
2021年5月26日 14時48分
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総合評価:
4.0
主人公のケイラはミドルスクール卒業間近の女の子。
YouTubeで活動しているものの視聴数も伸びない。最後の「グッチー」という
キメポーズもどこか冴えない。というより少しイタイ感じだ。
学校では「最も無口な子」に選ばれてしまう~
ここまで見ていて恐れていたのが、よくある「イジメ」の話へと展開していくのか、
という問題だったが、この映画はするりと、軽やかにその横を通り抜けていく。
しかしプールでのシーンはヒヤヒヤした。
水着のセンスも悪ければ、体型も微妙に悪い。現実問題として考えた場合、
なかなか解決の糸口が見つからない「イジメ」の話へと舵を切ってしまうと、
結局後味の悪さだけが残ってしまう。
しかしそういう話には進んでいかないのがこの映画の良いところだ。
ケイラはどこか「イタイ」しセンスも悪いし無口だが、それは自己主張の仕方が下手、
というだけのことなのだ。
彼女は生きていながらおそらく自分でもよく分からない居心地の悪さを感じているのだろう。
もがき、足掻いて苦しんでいる。それは青春時代特有のものであるということに気付くのはまだまだ先のことなのだ。
映画の見始めはちょっとイタイと思えるケイラだが、最後には誰もが彼女のことを、
どこか愛おしく思えてくることだろう。