何回見ても味わい深い名作
2021年9月23日 09時36分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
映画の名作は何度、見返しても味わい深い魅力を備えている。
私にとって本作は 何回見ても新たな感慨を覚える奥深い作品である。
ニューヨークの街でタクシーの運転手を職としている主人公トラヴィスは、ベ トナム戦争の帰還兵であるが、社会から疎外され孤独感を感じている。
トラヴィスの心情は、程度に差はあれ、現代の若い世代が抱える疎外感、孤独感を表していると思う。
トラヴィスは、偏った正義感から暴力的衝動を露わにしていく道を歩んでいく。
こういう極端なパターンをたどることはないと思うが、主人公の内面に共感を覚える人も多いのではないだろうか。
本作は1976年の作品であり、1970年代の猥雑なニューヨークの夜の街並みが舞台となっている。
この映画を見ているとその当時に、タクシーに乗って街を眺めているような感じを受ける。
また、本作が遺作となったバーナード・ハーマンによる音楽も素晴らしい。
フィルムによる少しレトロな感じの映像と、哀愁を感じさせる音楽がマッチしており何度見ても味わい深い作品にしているのだと感じる。