黒いGを手づかみしてもかわいいポーレット
2021年2月14日 09時10分
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総合評価:
5.0
1952年のフランス映画。
名作なので今更自分がああだこうだと書く事もないのだが、ちょっとだけ。
ドイツ軍の機銃掃射にあい両親を亡くした少女ポーレット。
飼い犬のジョックは強く抱きしめすぎて死んでしまう。
そして川に捨てられたジョックを追っていき、その先で少年ミシェルと出会う。
とにかくポーレット役のブリジット・フォッセーがかわいくて素晴らしい。
と言うよりも、プロット上そうでなくてはならないのだ。
まず外見。ブロンドの髪と、おそらく青いであろう瞳は
まさにフランス人形そのもの。
そして演出面では子供らしくわがままで無邪気な部分をうまく引き出している。
死んだジョックの墓を掘る時の一所懸命さなんかは特筆すべきシーンだ。
ものすごく、素晴らしい力強さで墓を掘っている。
でもそこがとてもかわいいのだ。
何でも一所懸命にやる子供というのはかわいく見える。
生きているゴキブリを手づかみするシーンには絶叫した。
黒光りするGが出てきた時の彼女の興味津々な目つきを見た瞬間、
うわ、まさかまさか、と思ったのだが……すごい、すごすぎるぞポーレット。
また、これは意図した事かどうか分らないが、ポーレットがいくら小さいとはいえ
今ではこんなにも映さないだろう、と言えるくらいパンツ丸出しのシーンが多い。
でも何だかこれも子供らしくてかわいい。
ミシェルがポーレットをかわいがるので観客としても一緒になって
その感情が加速されていく。ミシェルは一番末っ子であり、
年も一人だけ離れているように見える。そんな時にポーレットが現れた。
ミシェルとしてはお兄ちゃんとして、この子の為に頑張ろうと思う。
慕われるので張りも出るし、だから一緒にいて楽しい。
どんどんどんどんかわいい妹の為に「禁じられた遊び」に没頭してしまう。
そしてこのかわいさは全てラスト・シーンに通じて行く。
どこかで誰かが叫んだ「ミシェル」という声をきっかけにミシェルの姿を探して
雑踏の中に消えていくポーレット。
もしもこれが、かわいげの無いクソガキだったら、生意気なだけの
クソガキだったら、
誰も涙を流したりはしないだろう。
かわいい子供であればあるほど、不憫さが増す。
かわいそう、かわいそう、かわいそう……
だからこの映画はポーレットがかわいくなければならないのだ。
ポーレットがかわいければかわいいほど、この映画のラスト・シーンは締まる。
でもおそらく監督としては、予想以上の出来だったんではないだろうか。
そのくらいブリジット・フォッセーが素晴らしい。喜怒哀楽の表現がとても自然だ。
5歳という年齢の事を考えれば、映画史上最も優れた子役ではないだろうか。