邦画屈指の歴史作品
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2020年10月7日 16時06分
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総合評価:
5.0
2015年に公開された作品で1967年に公開された作品の再映像化となる。主演である役所広司さん演じる阿南惟幾陸軍大臣を始め、戦争末期の日本をどのように終戦に導いたか、また昭和天皇の玉音放送直前に計画され未遂に終わったクーデター事件にも焦点を当てている。見所は登場人物が抱える当時の政府のポジション的位置と終戦とに板挟みになる政府要人や軍人たちの緊張感ある映像である。なかでも個人的に印象を受けたのは阿南惟幾役の役所広司さんが朗らかだが、部下に慕われるという役どころを見事に演じていた。また、畑中中佐を演じた松坂桃李さんだが、普通の青年の顔とクーデターを決心する冷酷さを持つ顔の二面性を演じており、感嘆した。当時の日本政府の緊迫感と派閥通しの対立等をリアルに描いていると思う。本木雅弘さん演じる昭和天皇の威厳という言葉では足りない演技に脱帽した。歴史好きやこの時代をあまりご存知ない方には取っ付きにくいかも分からないが、名作であると思う。一回試しに是非観て頂きたいと思う。