「誰もが求める輝きの裏に秘められた血塗られた現実」ブラッド・ダイヤモンド遠藤塩素さんの映画レビュー

ブラッド・ダイヤモンド Blood Diamond

誰もが求める輝きの裏に秘められた血塗られた現実

このレビューにはネタバレが含まれています

遠藤塩素

2021年8月15日 04時33分役立ち度：0人

総合評価： 4.0

主演はレオナルド・ディカプリオ。最初は既得権益・搾取する側の尖兵だったが、そこから抜け出すために、搾取される側であるもう一人の主人公とタッグを組み、互いの事を話す内に徐々に友情が芽生える。正義感に燃えるヒロインともいい感じになる。
話の流れは典型的な王道ハリウッド映画のそれである。
しかし、『ブラッド・ダイヤモンド』は歴史の中、確かに存在したダイヤを巡る紛争をリアルに描ききっている。
それを象徴するのが少年兵である。
現実がそうだったように、本作に登場する反政府武装組織RUFの主戦力は少年兵である。銃を持った幼い子供達が次から次へと主人公達に襲いかかる様子は、紛争の凄惨さを感じさせるには十分な演出である。
ジャイモン・フンスー演じるもう一人の主人公の息子もRUFに攫われ、洗脳され、少年兵として彼の前に現れる。
医者を目指して勉強に励んでいた優しい息子が、RUFの尖兵となって人を殺す術や薬物を覚え、実の父親に銃を向ける。その現実を受け入れられず、何度も息子の名を呼ぶシーンではジャイモンの演技が光る。
実際にどこかで起きていた紛争の歴史を、王道ハリウッド映画に見事に落とし込んだのが『ブラッド・ダイヤモンド』なのである。
そのタイトルが示す通り、本作で描かれる紛争は世界的なダイヤビジネスのために起こされていたものである。
鑑賞が終わった後、自分の身につけているアクセサリーや結婚指輪の宝石を見て、何かを感じる者は多いだろう。