アメリカ人が描いた日本兵
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月14日 20時32分
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総合評価:
4.0
『硫黄島の手紙』は製作国アメリカ、監督はクリント・イーストウッド、製作側にスティーブン・スピルバーグも名を連ねるれっきとしたアメリカ映画。
それでいて、主要登場人物はほとんど日本人、全編を通してほぼ日本語と、純粋な日本映画を思わせます。
通常、アメリカが作った戦争映画の場合、アメリカ人をやけに英雄然と描いたり、敵国日本は非道かつ弱小国家として描かれる場合が多いもの。
ところがこの映画の場合、少し様子が違ってきます。
栗林忠道陸軍中将の人間味あふれる人となりを中心に、兵士たちの恐れや苦悩、家族への愛情、そして兵士達の人間性がしっかりと描かれています。敵国日本兵であっても兵士本人や家族の気持ちは米国兵となんら違いが無いということも。そのことを端的に表した米兵の母親による手紙のくだりは秀逸でした。
全編を通して言えるのは、イーストウッド監督が日本側に多大なる敬意を示して製作した映画であると容易に伺えること。
ひとつの戦争を日米双方の視点から描いた、映画史上初の2部作“硫黄島プロジェクト”。アメリカサイドから描かれた『父親たちの星条旗』も是非見なくては、という気にさせられてしまうのはまさに必然と言えるでしょう。
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