硫黄島からの手紙
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、アメリカ留学の経験を持ち、西洋の軍事力も知り尽くしている陸軍中将の栗林忠道(渡辺謙)が、本土防衛の最後の砦ともいうべき硫黄島へ。指揮官に着任した彼は、長年の場当たり的な作戦を変更し、西郷(二宮和也)ら部下に対する理不尽な体罰も戒めるなど、作戦の近代化に着手する。
二宮和也扮する主人公・西郷昇が硫黄島の海岸沿いで、鬼のような上官からムチを喰らうオープニングはかなり衝撃的でした。たまたまその現場を通りかかった陸軍中将栗林忠道は、西郷のような名も無き一兵卒からすれば雲の上のような存在でしょう。下級の兵士への体罰を禁止する人道的な一面もあるかと思えば、アメリカへの滞在歴もあって進歩的。猛烈な飢餓と理不尽な暴力が横行するこの島の中で、ふたりの間に芽生えていく身分を越えた絆が伝わってきます。 激しい戦闘シーンの合間にフラッシュバックのように挿入されていくのが、内地にいた頃の西郷の穏やかな生活ぶりです。小麦粉の配給が滞る中でも創意工夫を凝らして焼き上げるパンや、心優しい妻との何気ない会話に希望を感じました。 犬を射殺することを拒否して左遷させられた元憲兵の清水、国家のために命を捨てることを心情とする海軍指揮官の伊藤。戦地にやって来た理由は千差万別で、それぞれが複雑な事情と持論を抱えているために一筋縄ではいきません。個性豊かな登場人物の中でも、果たして誰が生き残るのか予想しながら観てください。
このレビューにはネタバレが含まれています
公開当初にこの映画を見た時は戦争の悲惨さだけに目が行って辛かったです。上官の命令とはいえ「なぜ自決するんだよ」「なんてバカなことを」と。そしてちっぽけな島を守るためになぜ大勢の兵士を動員する必要があるんだ?日本の司令部は何を考えているんだ?と、怒りが沸き上がりました。 その後、硫黄島が落ちたら日本全土が米軍の容赦ない空襲に晒されることを知り、どういう想いで兵士の方々が戦ったのか目に焼き付けるため改めて鑑賞しました。 押し寄せる米軍を撃退できると考えていた兵士は現場にはいなかったでしょう。自分達が1日でも耐え抜けば愛する家族だけでなく大勢の国民が疎開できると戦い抜いたんだと思います。 アメリカで作られる映画ではアメリカに敵対する国や組織はとんでもない悪者に描かれることが少なくありませんが、この映画では日本側の栗林中将やその部下である兵士達からの目線で描かれており、この映画には「悪者」はいません。(少しだけ「こいつクズだな」と思える兵士もいましたが) 敗戦色が濃厚になってきた時代に、武器弾薬だけでなく食料や水さえも足りない中、米軍の想定をはるかに超える驚異的な粘りで戦い、犠牲となった兵士の方々に我々は感謝しなければなりません。あの方々の犠牲がなければ我々は生まれていなかったのかもしれないのだから。 日米のいずれかに偏ることなくフラットに描いてくれ、戦争の悲惨さだけでなく、それぞれの人の想い、そしてあの兵士の方々から頂いたであろう自分の命の大切さ、それらに気付かせてくれた監督にも感謝です。
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