アニー・ホール
うだつの上がらないスタンダップ・コメディアン、アルビーは、知り合った美女アニーと意気投合して同棲生活を始めるが、うまくいくのは最初だけ。次第に相手のイヤなところが気になり出した二人の間には見えない溝ができ上がっていた。そしてアニーの前に現れた人気歌手のカリフォルニアへの誘いが二人の仲にピリオドを打つ決定的なものとなった。
この映画「アニー・ホール」でウッディ・アレンは、しがない寄席芸人、アルヴィー・シンガーに扮している。 禁煙を初めてから神経過敏になり、精神分析の会などに通っている。 こういった発想には、ウッディ・アレンの真骨頂があり、大いに笑わせられる。 結構若い女の子にもてたりして、気儘に暮らしているアルヴィーは、ある日、テニスの試合で、アニー・ホールというトレンディーな女性を紹介され、意気投合する。 やがて二人は恋に落ちる。 アニーはあまり自信はないが、一応、歌手を目指していた。 そんなアニーを、アルヴィーは勇気づける。 ある日、アニーは、人気歌手のトニー・レイミーと会い、ハリウッドに来るようにと誘いを受ける。 実は、アニーも精神的不安から精神分析を受けており、精神医からもっと自己を解放することを勧められ、アルヴィーの引き留めも空しく、ハリウッドに旅立つことを決心するのだった--------。 内心という言葉がある。あいつは上辺は調子のいいことを言っているが、内心は何を考えているのか分からないといった内心だ。 人と人との会話の核は、当然、この内心になる。 あなたは素晴らしい方ですと言って、内心はこのバカめと言っているかもしれない。 「アニー・ホール」の最大のおかしさは、この内心の暴露だろう。とにかく笑えるのだ。ウッデイ・アレンの辛口のユーモア・センスが、生き生きと映像を通して、我々観る者の笑いを誘うのだ。 人間の持つ、内心のおかしみをたっぷりと味わうと同時に、内心の持つ恐ろしさもザクリと胸を突いてくるのだ。 ウッデイ・アレンの愛するマンハッタンの風景、ダイアン・キートンの洋服の着こなしにも要注目の映画だ。
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