ウッデイ・アレンの辛口のユーモア・センスが生き生きと描かれた作品
2024年3月7日 16時11分
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総合評価:
5.0
この映画「アニー・ホール」でウッディ・アレンは、しがない寄席芸人、アルヴィー・シンガーに扮している。
禁煙を初めてから神経過敏になり、精神分析の会などに通っている。
こういった発想には、ウッディ・アレンの真骨頂があり、大いに笑わせられる。
結構若い女の子にもてたりして、気儘に暮らしているアルヴィーは、ある日、テニスの試合で、アニー・ホールというトレンディーな女性を紹介され、意気投合する。
やがて二人は恋に落ちる。
アニーはあまり自信はないが、一応、歌手を目指していた。
そんなアニーを、アルヴィーは勇気づける。
ある日、アニーは、人気歌手のトニー・レイミーと会い、ハリウッドに来るようにと誘いを受ける。
実は、アニーも精神的不安から精神分析を受けており、精神医からもっと自己を解放することを勧められ、アルヴィーの引き留めも空しく、ハリウッドに旅立つことを決心するのだった--------。
内心という言葉がある。あいつは上辺は調子のいいことを言っているが、内心は何を考えているのか分からないといった内心だ。
人と人との会話の核は、当然、この内心になる。
あなたは素晴らしい方ですと言って、内心はこのバカめと言っているかもしれない。
「アニー・ホール」の最大のおかしさは、この内心の暴露だろう。とにかく笑えるのだ。ウッデイ・アレンの辛口のユーモア・センスが、生き生きと映像を通して、我々観る者の笑いを誘うのだ。
人間の持つ、内心のおかしみをたっぷりと味わうと同時に、内心の持つ恐ろしさもザクリと胸を突いてくるのだ。
ウッデイ・アレンの愛するマンハッタンの風景、ダイアン・キートンの洋服の着こなしにも要注目の映画だ。