ホラーとして怖くない
2020年9月2日 12時20分
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総合評価:
1.0
ホラー映画を評価するに当たって、一番大切なことは怖さである。
もちろんホラー映画を銘打っても、その中でも細かくジャンルがあるし、一概に怖さが必要かと言えばそうでもないが、それは映画自身の持つテーマがそれぞれ違うからで、観客を怖がらせようとしている以外の何物でもないホラー映画であれば、怖さが一番大切だと考えている。
この映画の致命的な部分は、怖くない、そこに尽きるのである。
元々、私が犬鳴村という実在している怪談であれば怖いだろうと簡単に解釈をして見てしまったのが間違いだった。
怖がらせようという気概と実際に演出はあるのだが、そもそものストーリーが中々理解できずに進んでいくので、どういう話なのか頭の中で考えこんでいく内に物語が終わってしまう。
恐怖という感情は不確実性から生まれると言うが、それは恐怖の根源に対する解釈であって、ストーリーや登場人物たちといった前提部分を理解しなければ、恐怖するまでに辿りつかないのだということが今回の映画でわかった。
おそらくストーリーが分かり辛かったのは、脈略がないまま次々に場面転換をするためだと思われる。
更に、登場人物たちの立ち位置が分かり辛く、家族なのか兄なのか弟なのか親子なのか恋人なのかがわからず混乱した。
中盤からの展開も理解し辛く、血族から脈々と繋がれている呪いがあることはわかったのだが、そこからタイムスリップしたり、死ぬんだろうなと思った人間がしぶとく生き残ったのにやっぱり死んだり、終盤にお決まりの後味の悪いオチが想像していた通りだったので、ホラー好きほど見辛い映画になっている。
もともと、清水監督との相性が「呪怨」から良くなかったので、自身との相性の悪さを思い知らされた作品であった。