冬山ホテルが人を狂わせる
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月11日 16時24分
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総合評価:
5.0
原作者のキングはこの映画の出来を否定していましたが、さすがキューブリックというべきか、大ヒットした1980年代を代表する映画です。小説家である主人公が、妻子を連れて冬山のホテルの管理人の仕事を請け負います。ところがこのホテル、なにやらいわくつきで……という流れです。「ホテルの力で狂っていく」ところが、J・ニコルソンがクレイジーな印象をもともと持っているので、「クレイジーな作家がよりクレイジーになる」という印象があります。これがキングの最も心配していた点で、実際にそういった印象は強いです。ですが、静かなホテルを子どもがひたすら三輪車で走り回るシーンや、血まみれのエレベーター、死亡した双子などの画の力が凄まじく、張り詰めた空気までもが怖い映画に仕上がっています。ラストのニコルソンの死に顔は笑えばいいのか、怖がればいいのかわからないほど迫力アリです。必見モノですよ。ちなみに、原作では「ホテルのガーデニングで作られた動物たちが動く」シーンがあります。これをキューブリックが「ガーデニング迷路」にしたのは凄いひらめきだと思いました。あのおかげで本当に冬山の怖さと追う者、追われる者の緊張感が強く表現されています。