設定はありきたりですが、そこを面白く描きあげています
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年12月23日 12時56分
役立ち度:0人
総合評価:
3.0
ごくごく普通のとある一家。
現代にありがちなスマートフォンで各自が好きにして若干バラバラ気味の家族を中心に描かれています。
現代文明を当たり前に享受して暮らしていた世界。
しかし、ある時なぞの全世界停電現象が起きます。
当然電気を必要とするインフラ関係は全てストップ。
この辺りで「普通なら政府がなんとかするはずだろう」という前提で観ると面白くなくなってしまうので注意です。
確かにそういう疑問は持ってしまいますが、この作品のテーマは「当たり前にあったものがなくなったらどうなるか」という、風刺的な部分を含んでいます。
お金や貴金属をたくさんもっていても意味がない。
食料や水を手に入れたいなら、それなりに同じような「生きていくのに必要なもの」との交換が求められるようになるところが面白いです。
一家は鹿児島の祖父を案じて、東京から自転車で向かうことに。
西日本は停電していないらしい、という噂も聞いての行動です。
そんな中で様々な人と出会うロードムービー的な側面もあります。
「やけに気前よく水産物を提供しているところがあるなぁ」と思って観ていたら、看板が「水族館」なのは思わず声を上げて笑ってしまいました。
餌の確保も難しいなら、食べちゃうしかないですよね。
一家が大きなトラブルに見舞われることになるシーンは、切ないものがありました。
予想より楽しめて、よい作品でした。