少年の演技が非常にいいです
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年7月20日 22時31分
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総合評価:
5.0
久しぶりにすべてがよく整った作品を観た、というのが第一の感想です。
アスペルガーを持つ少年・オスカー。
そして彼の特性を理解し、彼が興味を惹くものを伸ばそうをする父。
しかし、運命は全て上手くいくわけではなく……。
父親は9.11のテロでなくなってしまいます。
本作を観た日本人なら、東日本大震災を連想する方も多いのではないでしょうか。
ある日突然、思いもよらぬ形で大切な人を失う悲しさ。
私はあるボランティアに関わっていた関係で、その切ない想いを目にしていました。
物語は、オスカーが父の遺品から偶然鍵を見つけたことから動き出します。
その鍵に合う鍵穴を探すために始まるオスカーの旅。
「苦手なもの」を多くもつ彼には、それは難しいものでした。
しかし、様々な人々と出会う中で成長していく姿がいいです。
「間借り人」とのエピソードも物語に一層深みを与えています。
オスカーのモノローグが多く用いられているのですが、彼の演技がとても巧みで退屈さを感じませんでした。
映像も大変良いです。
なによりも良かったのが、物語のオチが「こうなるといやだなぁ」という方向ではなかったこと。
私達それぞれは、みんな心になにかの鍵を持っていて、それに合う鍵穴を探すのが人生なのかもしれませんね。