きっと、皆が通る道。
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年9月4日 11時36分
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総合評価:
5.0
住野よるさんの原作という事だけで期待して鑑賞。
「青くて痛くて脆い」というタイトルはよくわからなかったので特に考えていなかったが、映画を観終わる頃にはこれ以上に適切なものが見当たらなかった程、ぴったりなタイトルだったように感じる。
どこかゾクゾクし、ワクワクするような、これもまたある意味青春。そんな一本。
この作品における悪は何か、誰が間違っていて誰が正しいのかは鑑賞する当事者に由来する。
以下軽いネタバレ有り
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吉沢良演じる根暗な大学生の田端楓は、他者と深く関わることを避け、他者の意見を否定しないことを人生の指針にしていた。
そんな中現れた、杉咲花演じる大学生の秋好寿乃。
彼女は楓とは正反対の、他者の内面に土足で踏み込んでくるような性格だった。
楓は秋好に巻き込まれる形で2人の秘密結社と銘打ったサークル「モアイ」を立ち上げ、より良い世界を変えるため活動をしていくが、大学4年になった頃には楓はモアイを去り、モアイは形を大きく変え、秋好は死んだ。
2人の世界を変えるという定義、変えられる可能性、そこから見えてくる現実はいつしかすれ違い、そこに勝手に失望する。
大学生という、大人の様な子供の「青さ」と、過剰な自尊心やスケールを無視した世界観が「痛く」、勝手に創り出した理想は簡単に壊れてしまう程、「脆い」のだ。
そのどれもが我々の学生時代のどこかしらに当てはまって、どうにも表現しにくいむず痒さを感じさせた。
きっとどこかで共感できる、理想と現実の狭間で揺れ動く2人をどの立場で観るかは1人1人違うはず。