ビクターがニューヨークへ行きたかった理由に涙
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月23日 16時28分
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総合評価:
5.0
空港内で長い間ずっと耐えて来たのはこの為だったのだと、ビクターの心の温かさに涙が出た。
母国の事情でパスポートが無効になり、ビクターはアメリカの空港での足止めを余儀なくされる。前代未聞の状況で、空港側はビクターをやっかいに思い、どうにかして空港の外へ逃亡させ責任逃れをしようとする。しかしビクターは真面目な男で、堂々とアメリカに入国し母国に帰るために母国が元に戻るまで空港内で待つことを選ぶ。ニューヨークの観光地を挙げてここに行きたいなどと話すが、本当にそれだけの理由なのか・・。終盤でビクターがニューヨークに行きたい真の理由が明らかになり、その理由は心温まるものだった。
ビクターが空港内で暮らす様子は楽しそうに描かれていて、それを見張り、時に邪魔する空港側の人間との小さな戦いもある。その中でうまく暮らしていくビクターの様子がなんとも面白い。スタッフたちとは仲良くなり、ビクターならずっと空港内で暮らせそうだと思ってしまうほどだった。最初は変わった男がいるという程度だったのにいつの間にかスタッフたちはビクターの優しい人柄に惹かれていく。ビクターのそういう部分はストーリーの進行に比例して見る側に伝わってくる。
明らかになった本当の理由はこれまで感じてきたビクターの人柄をまさに象徴するものだと納得できたし、ニューヨークへ送り出そうと協力するスタッフたちの姿にも共感できた。ビクターという人間がとても魅力的に描かれていて、また見たいと思う映画だった。