バットマンとジョーカーの対決や派手なアクションを期待される方には向いていない映画です。この「ジョーカー」には、バットマンは出てきません。なぜなら、主人公がカリスマ的悪役ジョーカーになるまでの過程を描いた映画だからです。
この映画は、主役のホアキン・フェニックスの繊細な演技を堪能するどちらかと言うとポップコーン片手に見る娯楽作品ではないと思います。
物語自体は目新しさはなく、最初から精神を病んでいる心優しい主人公の現実か妄想かも分からない話を主人公の目線で展開されます。葛藤する主人公の内面をえぐるようなとても重い内容です。
全編を通して感じたことは、スコセッシ監督の「キング・オブ・コメディ」にとても似ているということです。(デニーロが主演だった)後に調べたところ、本作の監督がスコセッシの「キング~」と「タクシードライバー」を参考にしたとのことでした。
ただ、主役のホアキン・フェニックスの芝居は鬼気迫るものがあり、表情から動作から完璧に役になりきっており、さすが賞レースを片っ端からさらっただけのことはあるなと思いました。