ベネディクトカンバーバッチの世界に引き込まれる
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月21日 10時48分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
天才数学者、アラン・チューリングを演じるベネディクトカンバーバッチ。複雑なセリフや演技を、まるで演じていないかのようにこなす彼の演技力に感服です。第二次世界大戦時のエニグマ暗号解読プロジェクトに参画したアランは、同性愛者で後に訴追されたという実在の人物。暗号解読プロジェクトチームのリーダーになったアランは、優秀な解読者を発掘するため、クロスワードパズルで公募し、キーラ・ナイトレイ演じるジョーン・クラークが参画することになります。敵のドイツ軍が暗号を頻繁に変えるので解読に追いつきませんが、アランはクリストファーと名付けた暗号解読機械に没頭してようやく解読に成功します。ただ、ドイツ軍には暗号を破られたと悟られないようにしなければならない葛藤と、自らが同性愛者であることを知られないようにする葛藤に苦しみます。一度求婚をしたジョーンにも婚約破棄を言い渡すなど、苦々しいシーンもあります。時代背景を汲み取り、暗号解読ドラマに止まらない人間関係の切なさや苦しみ、痛みを描き切った名作だと思います。