奇妙な雰囲気の怪作SFホラー
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月20日 15時40分
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総合評価:
4.0
「平和に見える街に実は人間に成りすました宇宙人が多数潜伏しており、街の人間は宇宙人に知らない内に支配されている」という風刺を利かせたSFホラー映画です。
主人公のナダがサングラスをかけ、知らないうちに宇宙人に支配されているという街の真実の姿に気が付き、孤軍奮闘しながらも味方を得られず、徐々に追い詰められていく過程は少し精神的につらいものがあります。
ただ、古めの映画なだけあってエイリアンの造形はリアルと言えず、怖く不気味ではあるもののどうしても作り物っぽさが気になります。
また、宇宙人の詳細については作中でほとんど明かされず、消化不良気味です。
かと思えば、ナダと恩人のフランクのプロレスのような格闘シーンは尺が長く迫力もあり、妙に力が入っています。
最後は後味の悪い終わり方ですが、この作品の要旨が人間社会への風刺や皮肉と考えればむしろ正解でしょう。
「怪作」とでもいうべき作品ではありますが、日常の裏側にある怖さや鋭い風刺を含んでおり、解釈の余地が大きく誰かと考察するのが楽しい映画でもあります。