HERO
紀元前200年、戦乱のさなかの中国。後に始皇帝となる秦王のもとに無名と名乗る男が拝謁を願い出る。彼は中国全土で最強と評判の暗殺者3人、長空、残剣、飛雪を自らの手で倒したと語り、それぞれが所有していた自慢の武器を証拠として持参していた。暗殺者たちを恐れる秦王は、100歩以内の距離に誰も近づけようとしなかったが、無名にはもっと近くまで寄ることを特別に許し、それらの対決の歴史を詳しく語るよう彼に命じる。
英雄・秦の皇帝の命を狙う刺客を次々と倒した功績で、皇帝への謁見を許された無名という男。 賢明なる皇帝が、刺客たちとの戦いを語る彼の話が真実ではないことに気がついた時、その男は10歩の距離までに迫っていた。 美しい色彩設計、端正な構図、羅生門的な物語構成。 それらがこの作品の品格を高めていることは、間違いない。 しかし、様式にこだわり抜いて見せたこの作品は、そこに足を引きずられたのか、アクションのリズムを刻まない。 ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニー・イェンという、これだけのアジアの大スターを揃え、これだけのスケールの作品でありながら、最後まで血沸き肉躍ることのない、このアクション娯楽大作は、その一点において作品のあるべき姿を見失っているのではないかと思う。 様式の中に閉じ込められた夢幻的なアクション・シークエンスは、それが生気のないプラスティックのディスプレイのように、自らを閉じ込めたショーケースという枠組みを、突き破りはしない。 窮屈な型に閉じ込められて、物語は最後まで躍動する瞬間を得ることがない。 つまり、様式がアクションのリズムを殺しているのだ。 もちろん、私怨を超えて安定した国家を築く大義を語るのが、この作品のテーマなので怒りや哀しみを押し殺した"枠組み"に納まることを選ぶ「英雄」たちが、そういう窮屈なショーケースの中でしか、その美しくも超絶的なアクションを披露出来ないのは物語的な必然なのかも知れない。 ただ、物語のテーマに忠実であることで、この映画はそれ以上の何かになる可能性を自ら放棄しているのだと思う。 優等生であるが故の、面白味のなさを感じるのだ。 監督のチャン・イーモウは、それまでどんなジャンルの映画でも器用に、巧みな手腕を発揮してきた人だが、この作品でまた、これまでとは違う"武侠映画"というジャンルに挑戦して、一応の成功を収めていると思う。 大地を揺るがす秦の大軍、唸る矢、芸術的な振り付けを施されて宙に舞う剣士たち。 それにしても、それらのシーンが美術館の展示品であるかのようにダイナミズムを欠いているのが、実に惜しいと思う。 そして、この監督が枠に閉じ込めコントロールする発想でしか、アクション映画を撮れないのであれば、彼の体質に合っていない、このジャンルではなく、もっと小味な人間ドラマの路線でいった方がいいように思う。
何年か前に2回ほどテレビで観た記憶があるのですが、まさか2002年の映画だとは思いませんでした。久しぶりに観たいと思い、またテレビで放映しないかなーと探していたのですが、なかなか放送されないので、仕方なくDVDをレンタルして観ることにしました。 久しぶりに観た感想は「期待通り面白いけど、こんなややこしい話だったのか」ということです。詳細は割愛しますが、ストーリーが入り組んでいて、どれが真実の話なのか分かりにくいと思います。 それでも、映像美や華麗な(ワイヤー?)アクションで楽しませてくれます。 ところどころユーモアも織り交ぜられていて、飽きがこないです。孤独な男女の剣士がいつか二人で故郷に戻ろうと誓い合うシーンは涙を誘います。 一体、英雄(ヒーロー)とは誰なのか、主人公である無名という男なのか、それとも始皇帝なのか、考えさせられる映画です。 DVDは返却しましたが、何年かしたらきっとまた観たくなる映画だと思います。
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