ダーティハリー
サンフランシスコ。屋上プールで泳ぐ女性が何者かに狙撃されるという事件が発生した。捜査にあたるのは、いつも汚い仕事をまかされることから“ダーティハリー”なる異名をつけられたハリー・キャラハン刑事。やがて“さそり”と名乗る犯人から「十万ドルを渡さなければ市民を殺し続ける」という脅迫が届いた。予告通り、次々に無差別殺人を繰り返す“さそり”だったが、ハリーと相棒のチコはついに犯人の正体に迫る……。
「アクション・ヒーロー型映画」の原型となった名作であり、また後のクリント・ イーストウッド自身の監督作品の原型ともなっていると思われる。 説明的な場面、セリフなど省略されておりシンプルな展開である。 主人公の行動を端的に描写することで、行動スタイルを表現しているが、説明がない分ダイレ クトに見る側に伝わってくる。 無駄を省いた構成で、主題である主人公の非情かつ大胆なキャラクターを浮かびあがらせている。 映画が開始されて早々に、銀行強盗の現場に居合わせたハリーを描く。 ハリーは、迷うことなく44マグナムの大きな拳銃をぶっ放す。 組織内のしきたり、ルールにとらわれることなく、自分の行動哲学に従うのだ。 相棒であるチコとの対比でもハリーの行動信条が表現される。チコはハリーに協力的であるが、捜査の中で負傷し、妻の頼みで警察を辞め、教師へと転職してしまう。 常識的な相棒を配することでハリーの規格外のキャラクターを浮きだたせている。 1971年の作品であり、1930年生まれのクリント・イーストウッドは40歳くらい。 ドン・シーゲル監督とタッグを組んでの制作であるが、後の監督作品にも影響を与えているだろう。 無駄がなく削ぎ落された武骨なストーリーの美学が見てとれる。
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