親の病気についての問題を、穏やかに描いた良作
2021年5月31日 14時54分
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総合評価:
5.0
アカデミー賞にブルース・ダーンがノミネートされた時に、ザックリと内容を知り、
タランティーノ作品に出るようになって、ローラ・ダーンのお父さんだし、観ると落ち込むかも?という思いより、罵倒するおじいちゃんが、どんな演技をしているのか気になった人は必見。
百聞は一見に如かず、とはまさにこの映画。
ブルース・ダーン…大人しいおじいちゃんだった。
ママの方がタランティーノ的だったと感じるのが、また面白い。
病気を持っている父ウディを持つ子、デヴィット(中年)の目線が何とも言えない。
仕事中でも電話が鳴り、母親からの押し付けがましい内容。
子が「またか…」と思う反面で、父と寄り添うことで考え方が変わり、一緒に行動する決意は、
彼自身の人間的成長もさせていく。
堅苦しい言葉になったけど、クスクス笑ってしまうシーンが、写真にしたいアートな感じもあり、盛り沢山。
ママ、ケイトが子どもに掛ける圧が凄い。
アンタ達に幾ら掛けて育てたと思ってるの?的な言葉や、ぶっ飛んでる叔父さん夫婦と子ども(従兄弟)の中で、放つ言葉たちは、母ちゃん止めて…と思う。
従兄弟は、かなりイライラさせられるキャラだけど、小うるさいママ始め、出てくる登場人物たちが、憎めない。
デヴィットが、寄り添いながら成長していく、というのもあるけど、彼らに成長させられてる部分も大きい。
親の病気という、世界でも社会的な問題を、中年になった子どもを成長させていく映画。
現実は、こうはいかない、と日々お疲れの方々に観て欲しい。
「そんな余裕ない!」という人向きではないです。