岬の兄妹
港町に暮らす良夫(松浦祐也)はある晩、自閉症の妹の真理子(和田光沙)が、男に体を許して金銭を受け取ったことを知る。そのころ、良夫が勤める造船所でリストラがあり、良夫は足が不自由であることを理由に辞めさせられてしまう。困窮した良夫は妹の売春のあっせんを始めるが、次第に妹の喜びや悲しみを知り困惑する。さらに売春のことを知った友人が、良夫に忠告しに家にやって来る。
足が不自由な男が、仕事を解雇させられ、生活に困った末、 自閉症の妹に売春をさせて生計をたてていく、という話なのですが、 これだけで、この映画、ちょっとヤバイんじゃないの、 という感じになってしまいます。 この筋立てをみたらその先には絶望しか考えられず、 そもそもこんな物語を映画にしていいのだろうか、という気にさえなってしまいます。 また、インディーズ感の強い作品となると、手持ちカメラで臨場感を出す、 そんな作風も想像できてしまいます。 ところがいざフタを開けてみて、とてもしっかりとした作りに驚かされました。 冒頭妹がいなくなり、男が動かない足を引きずって海まで探しにいくシーンでは テトラポットの間に浮遊している靴を妹のものだと思い、友人である警官に 拾い上げてもらう、というくだりまでを、省略的な手法で一気につないでいきます。 タイトルバック直前の、美しい夕焼けをバックに、 途方にくれている男をとらえるショットでは、画面を横切るカモメにまで 演出をつけているのかと思えるほど、絶妙なタイミングで フレーム・イン→アウトをしていきます。 そして妹が知らない男といたことが分かり、連れて帰った後風呂に入れ、 状況を問い質すシーンで、 『お兄ちゃん怒るよ!』 というセリフが出てくるのですが、これ、自分は思わず笑ってしまいました。 決して笑う所ではないんです、ないんですが、どこかユーモラスなんですよね。 こんな題材の映画を観て笑うなんて不謹慎過ぎるんじゃないか、と 自問自答もしましたが、やはり自分自身の感情は欺けないのでした。 この映画はネタがヤバイため、作った監督は、現代日本の暗部をあぶりだす、とか、世界的に話題となっている貧困を描く、とか、一見そういう問題提起を しているように思えますが、そういう小難しい事は脇に置いておいて、 実は単純に面白い映画を作りたい、という、映画人の基本的欲求で作り上げた映画、 という気がしました。 だから、この映画を観て面白いと思ったら、不謹慎とは思わずに笑いましょう。
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