救いようのない絶望感
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月7日 15時45分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
愛犬家連続殺人事件がもととなった作品です。
この事件で犯人が語った「ボディを透明にする」というところを強く出しています。
主人公・社本。彼は小さい熱帯魚店を経営しています。
しかし、彼の家庭は崩壊していました。
テーブルにあがる食事は冷凍食品。
娘は食事中に携帯電話で話したり、時には途中で離席することも。
そんなある日、娘が万引きし、社本は村田という人物に出会います。
これが悲劇の始まり。
村田は大きい熱帯魚店の経営者。
人の好さげな顔の裏は、怖ろしい連続殺人鬼でした。
愛犬家連続殺人事件で犯人が語った「ボディを透明にする」という言葉は遺体を切断して燃やし、捨ててしまうということです。
その過程が描かれていて、とてもエグい作品になっています。
しかし、単にエグいのではなく、登場人物たちの狂気がうまく表現されています。
細かい性格の違いなども画面をよく見ていると分かります。
ラスト、ようやく「父親」としての覚悟をもった社本が娘に対して「人生は痛いのだ」と言葉を残し、自殺をするのですが、娘はその姿を見て大笑いします。
その狂気もまた恐ろしく、とても後味が悪い作品に仕上がっています。
後味は悪いですが、強烈な印象を残す興味深い作品でした。