「美しい映像と青春物語を音楽がまとめ上げる」 君の名は。 yumikoさんの映画レビュー

この映画にはファンタジー、恋愛、都会へのあこがれ、危機から人を救うクエスト、といったいくつもの要素が含まれており、それが有機的に絡み合って上質のエンタテインメントを作り上げています。
男女の身体が入れ替わる、という設定はこれまでにもいくつかの物語で使われてきましたが、それが周到なシナリオでうまく処理され、さわやかで必然性のある物語となっています。本当ならエロチックになりがちな設定ですが、笑える内容で、女性にも肯定的に受け止められるような演出になっていました。
また、新海誠監督の映画に特有の、細密に描かれた街並み・教室・雲…といったものが、独特の抒情を作り出し、主人公が住む東京もヒロインが住む長野県の山奥の街もそれぞれの魅力をもって輝き始めるようです。
なにより素晴らしかったのが、RADWIMPSの提供した音楽とのコラボレーションでした。リズムと映像の切り替わりがきっちりとリンクしており、時間の経過や登場人物の心の動きを気持ちよくまとめる役割を果たしていて、何度も見たい映画と感じました。