「障害者」当事者視点から視聴しました
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月29日 14時51分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
耳の聞こえない少女が主軸の作品。
私自身、足に障害を持っているのでその視点から鑑賞しました。
小学6年生のクラスに転向してきた少女・西宮。
彼女は耳が聞こえません。
そんな彼女に無邪気な好奇心を持ったのが石田という少年。
西宮に対し、他のクラスメイトは表向きは腫れ物扱いし、裏では陰口を叩いていました。
そういう意味では、石田少年の「無邪気な好奇心」はフラットな視点なんですよね。
確かに補聴器を壊すのに加担したりするのはいけないことです。
しかし、クラスメイト全員が西宮に対してうまく付き合えなかったのを、彼ひとりに押し付けてしまいます。
それによって石田は孤立し、心を閉ざすように。
周りを拒絶しているのを、顔にバッテン印をつけている表現がいいです。
「声」というのは、手話や会話だけではありません。
心の中に持っている想いもまた「声」です。
それはちゃんと伝えないと他人には伝わらないことですが……。
西宮を「弱者であり善者」として描いていないのも好ましいです。
弱いが故に、ときに周りを傷つけてしまう。
そんな彼女もやがて自身のことをしっかりと見つめていく過程が描かれています。
学校の生徒達全員にバッテンをつけていた石田。
それが剥がれるラストシーンが美しい作品でした。