「片隅」に生きた普通の女性の物語
2020年9月2日 16時54分
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総合評価:
5.0
大変話題になった名作です。
私は元々原作者のこうの史代さんが好きで、この作品も原作を先に読みました。
こうのさんらしい優しい雰囲気の漂う作品で、映画にもそれが活かされています。
戦時下という素材を扱った映画は、大抵の場合苦悩や悲しみを全面に押し出すことが多いです。
しかし、この作品はそうでないだけに逆に「戦争」というものについて深く考えさせられます。
戦時下において「普通」に生きた「普通」の女性、すずさんの物語です。
普通というよりは少しおとぼけさんで可愛らしいです。
戦争から遠く時代を経た現在、あの時代は「辛く厳しい時代」という認識があることかと思いますが、みんな普通に生きて普通に生活していたんですよね。
その日常の中に、空襲などの恐ろしいことがあったのです。
全体的に穏やかな雰囲気が漂う作品ですが、それだけではなく、やはり戦争の厳しさも描かれています。
今現在、日本以外の国の「片隅」で苦しんでいる人もいます。
そういった意味でも過去の「片隅」で生きた人々の物語をみることはとても有意義なことかと思います。