華氏911
マイケル・ムーアにはやらなければいけないことがあった。それはブッシュを政権から引きずり降ろすことだった。なぜなら、ブッシュ政権はオサマ・ヴィン・ラディン氏と9・11の事件の前後に癒着があったからだ……。
マイケル・ムーア作品の傑作のひとつ。 この作品をみた当初は知らなかったのですが、タイトルは焚書をテーマとしたSF「華氏451」から引用したとのこと。 本が自然発火するほどの高熱。それよりもさらに熱い「911度」。 アメリカの同時多発テロは、当時私もテレビで見ましたし「なんて恐ろしいことをするんだ」「ひどすぎる」との怒りを抱きました。 アメリカ人でない私さえ、そう思ったのですから国内のひとびとの怒りはもっと激しく「熱い」ものだったかと思います。 前半では主にその後に起きた、大量破壊兵器撲滅のためのイラク戦争についてユーモアを交えて描いています。 この辺りは非常に面白くもあるのですが、やや感情的にすぎるようにも感じました。 一方、イラク戦争により、無辜の人々が殺され、家屋を失うという事態についても描かれており、大変興味深い内容でした。 マイケル氏の作品は、この後の「シッコ」までは面白かったのですが、最近は政権批判の方に走りすぎていまひとつ……。 本作あたりのさじ加減がちょうどいいのではないかと思います。
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