長崎の情景が美しいです
2021年7月28日 12時03分
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総合評価:
4.0
視力を失っていく病に冒された青年の夏の物語です。
主人公を演じるのは大沢たかおさん。
爽やかさを兼ね備えつつ、うちに秘めた悲しみの演技がいいです。
本作を観るにあたり、彼が冒されている病、ベーチェット病について少し調べました。
視力以外にも非常に多くの症状の出る、指定難病とのことです。
少しずつ視力が失われていくのは恐怖でしょう。
私自身も骨のガンで片足を膝下から失っています。
しかし、私の場合は「その日」がいつか事前に知らされていました。
タイトルの「解夏」は仏教用語。
作中に説明が出てきます。
長い恐怖を過ごし、やがて完全に失明する日「解夏」。
私の「解夏」もまた、そこへ至る日々は悲しみと怒りを含んでいました。
主人公・隆之も慟哭するシーンがあります。
ひたすら泣かせる展開ではなく、あくまで爽やかなストーリーなのがいいです。
隆之を支える周囲の人々の姿も現実的なラインで描かれています。
終盤にかけてのBGMがやや感情的にすぎるのが残念。
情景自体で十分感情が伝わってきますので、このあたりの過剰なBGMは不要かと思います。
長崎の美しい風景。そしてそれを見れなくなってしまうまでの静かな物語でした。