「のんちゃんが本当にかわいい」 私をくいとめて にこにこ81さんの映画レビュー

綿矢りささん原作らしい、屈折した女性をのんさんが演じています。長年恋人がおらず、お一人様生活を満喫しているみつ子は脳内に「A」が存在しており、日常のことから人間関係まで全てをAに相談して答えを導きだしています。ひょんなことから取引先の若手営業マンである多田と関わるようになり、お互い惹かれていきます。自分の中で押し問答をするうちに、他人と対話をすることが億劫になっているのですが、多田とのコミュニケーションを通じて、他人と関わりたい気持ちと一人になりたい気持ちで葛藤します。不器用なラブストーリーが主なストーリーではあるのですが、旧友の皐月に会うためにイタリアまで会いに行き、女友達との好きだけど、嫉妬するような複雑な関係性が素晴らしいと思いました。また、温泉に一人旅行に行き女芸人が男性に嫌な絡まれ方をしているとき、強く怒れない弱い自分と向き合い、悔しくて涙がでてしまうところも、共感せずにはいられませんでした。