群像劇でないのが残念
2021年2月25日 19時16分
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総合評価:
3.0
同名小説の映画版です。
こちらは原作とコミックを読んでから視聴しました。
原作と大きく異なっているのが、主人公が朝霧のみであるという点。
この作品は原作では遊郭・山田屋を舞台に朝霧を主軸とし、その朋輩、妹分、姉貴分と様々な遊女の悲哀を描いた女性たちの群像劇です。
それ故に吉原で生きる女たちの姿がそれぞれの観点から描かれていました。
やはり、映画となるとヒロインを複数立てるというのは難しかったのかと思います。
本作は安達祐実さんが脱いだ、とのことで話題にもなりました。
映像は美しく、安達祐実さんの所作もきれいです。
しかし、ヒロインをひとりにしてしまったことで物語が逆に薄くなってしまったのが残念です。
また、朝霧を身請けすることになった人物を変えてしまったのがかなり惜しいです。
原作では、朝霧を身請けする人物は好感の持てる人物で、彼女は幸せになれるはずだったんですよね。
しかし、半次郎への愛ゆえに違う道を選んだ。
その悲しみが描かれていないです。
原作を知らずに観れば、それなりにいいのかもしれませんが、原作から入った私には少し残念な仕上がりになっている作品でした。