若干強引なところはあるけど時代を先取りしていた良作
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月28日 11時56分
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総合評価:
5.0
2020年の中頃から各所でリモートの制約を逆に活かしたドラマや映画が作られるようになりましたが、その数年前に全編PCの画面上で展開されるこの映画が作られたことにまず驚きです。
PC画面の画質がそこまで良くないシーンも多く、映画自体は非常に淡々と進んでいきますが、そのことが見事な間や緊張感を演出しています。
また、主人公のデビッドを演じるジョン・チョウの演技も良く、娘の行方が分からない中で焦りを募らせ憔悴していく姿には思わず見入ってしまいます。
ストーリー自体は比較的オーソドックスな展開ではあるものの、犯人の正体や結末には少し強引なところがあり、ここは少し残念です。
ただ、デビッドの娘、ミシェルの失踪がニュースで報じられた後、SNSに自称親友が出てきたり、偽の目撃証言がバズったりとSNSで良く見られる現象が描かれているのは皮肉がきいています。
あと、デビッドとミシェルが共に妻(母親)の死を乗り越えるため、お互いに向き合う前向きな決意をするのに対し、それまで冷静で聡明に見えた犯人が逮捕後の事情聴取では親のエゴ丸出しの弁解を繰り返す等、対照的な親子関係の描き方も印象的です。