いつ自分がそちら側に行ってもおかしくない怖さ
2021年1月7日 10時32分
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総合評価:
4.0
『ミッドサマー』で有名な監督、アリアスターの長編映画デビュー作です。登場人物全員まともな人がおらず感情移入はしにくいのですが、家庭全体に流れる不穏な空気がたまらなく不快で精神的に追い詰められます。
ミニチュア模型アーティストのアニーは夢遊病に悩まされており、母、父、兄も精神病を患っていたことから、いずれ自分の息子ピーターと娘チャーリーにも精神疾患を発現することを心配していました。とある事故でチャーリーが亡くなってしまったことをきっかけに一家はどんどん破滅に向かって転がり落ちていきます。
よくあるホラーは分かりやすい謎の存在がいるのですが、本作は日々生活している中で、謎の存在が徐々に家庭の中に侵食していき、気づいたときにはもう後戻りができない状態となっています。それは自分の生活の延長線上に繋がっているような気がして、いつ自分がその世界に行ってしまってもおかしくないような気持になり不快感を倍増させます。
俳優陣のやりすぎともとれる顔の演技も、さらに恐怖を煽られて見物です。