温かな映画でした。
2021年2月22日 13時11分
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総合評価:
5.0
日本の精神科医として、トラウマケアを始めた初期の方である、安克昌氏をモデルにしたNHKの4回の連続ドラマの劇場版です。神戸の震災の頃から海外のトラウマ関係の文献を、安克昌氏や師である中井久夫氏など、神戸の臨床家の方々が翻訳し、出版しだしていました。
この映画の中では、安氏から見た中井久夫氏は遠い存在のように描かれていますが、中井久夫氏の著作を読むと、安氏の事はかなり身近に考えていたようです。
教育テレビの「隠されたトラウマ~精神障害兵士8000人の記録」でも、戦時中に日本兵の負った今で言うPTSDと、その後の劣悪な処遇が取り上げられていましたが、普通の生活をしているほとんどの医師にとっては、トラウマ的な出来事とその影響などは想像自体が困難なのでしょう。
さらに、大学の医学部の教授選では、外科や内科の教授も関わるため、精神科の臨床をしている方が選ばれにくく、他の科からも解りやすい脳や神経の研究者が選ばれやすいという事も、現代の日本の精神医療に大きな影響を及ぼしていそうです。
著名な臨床家の方々が、文系学部の教員となり、臨床心理士の育成をされていることも、そのような事が背景にあるのでしょう。