アリス
ある日、雑然とモノが散らばった部屋の中で少女のアリスが退屈していると、彼女の目の前で人形の白ウサギがふと生気を帯びて動き出し、ガラスケースをハサミで打ち壊して外に飛び出していく。驚きながらもウサギの後を追いかけたアリスは、穴の中へと落ち込み、それを通っていつしか不思議の国へとたどり着く。そこで彼女は、クッキーを食べるとなぜか体が伸び縮みするなど、さまざまな奇想天外な冒険を繰り広げることになり…。
「不思議の国のアリス」は多くの映像作品があります。 最も有名なのはディズニーのものですが、個人的は本作もかなり好き。 チェコスロバキア出身のシュヴァンクマイエルによる、ちょっと不思議な世界観の「アリス」です。 恐らく、何も知らずに観ると全体的に汚く見えるかと思います。 しかしそこがいいのです。 しろうさぎのボロボロとした感じや、時折挿入されるアリスの口元。 アリスはモノローグとして、小説で言うところの「地の文」を語ります。 口が大きくクローズアップされ、唾液もみえるほど。 ストップモーション・アニメを利用したしろうさぎの人形のカタカタとした動きもいいです。 監督の出身地である中央ヨーロッパから東ヨーロッパは政治的に不安定な時代が多く、それ故か陰鬱さ、または静謐さをもったアートが非常に多いです。 本作もシュールレアリズムの流れを組みながら、若干暗く、しかし美しい作品になっています。 「大人向けアリス」の最高峰と言っても過言ではない作品です。 英語版もでていますが、チェコ語版のほうが断然おすすめ。 言葉の響きが物語に合っています。
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