シュバンクマイエル版アリスの「不愉快」な愉快さ
2021年9月12日 21時14分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
「不思議の国のアリス」は多くの映像作品があります。
最も有名なのはディズニーのものですが、個人的は本作もかなり好き。
チェコスロバキア出身のシュヴァンクマイエルによる、ちょっと不思議な世界観の「アリス」です。
恐らく、何も知らずに観ると全体的に汚く見えるかと思います。
しかしそこがいいのです。
しろうさぎのボロボロとした感じや、時折挿入されるアリスの口元。
アリスはモノローグとして、小説で言うところの「地の文」を語ります。
口が大きくクローズアップされ、唾液もみえるほど。
ストップモーション・アニメを利用したしろうさぎの人形のカタカタとした動きもいいです。
監督の出身地である中央ヨーロッパから東ヨーロッパは政治的に不安定な時代が多く、それ故か陰鬱さ、または静謐さをもったアートが非常に多いです。
本作もシュールレアリズムの流れを組みながら、若干暗く、しかし美しい作品になっています。
「大人向けアリス」の最高峰と言っても過言ではない作品です。
英語版もでていますが、チェコ語版のほうが断然おすすめ。
言葉の響きが物語に合っています。