小道具を使った恐怖演出が見事
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月27日 22時50分
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総合評価:
5.0
「サスペリア」とは全く関係がないこの映画だが、自分は何故か子供の頃近くの映画館で、
「ルパン三世」の劇場1作目(つまりマモーの話)と2本立てで観た記憶がある。
ルパンの映画も変な話だったが、この映画には本当に驚いた。怖いなんてもんじゃなかった。
こんな怖い映画を作る奴は、頭がおかしいんじゃないか、とさえ思った。
特に人間の殺し方が尋常じゃなかった。
机の角に顔をぶつける、お湯に顔を浸す等、
痛いの熱いのが画面を通して伝わってくるようだった。小学生の自分は悲鳴をあげることさえできずに、
ただただこの地獄よりも恐ろしい時間を乗り切るのに必死だった。
映画を観終わった後も震えが止まらず、家までの帰り道が怖くてしょうがなかった記憶がある。
子供の歌声や絵、人形など、一見何の変哲もない小道具たちが、
監督の異常なまでの演出手腕によって全て悪魔の道具へと昇華させられており、
異次元レベルの恐怖を生み出すことに成功している。
恐怖演出がとにかく徹底しており、例えば暗闇の中で目だけが浮かびあがるシーンなど
絵コンテ段階ではイメージできるものの、実際に撮影となると目の周りの皮膚の感じとか
画面を通して認識できるような仕上がりになりそうなものだが、映画を観る限りでは、
ホントに暗闇の中にポツンと「目」だけが浮かび上がっているショットとなっているのだ。
ラスト、殺人犯の首にネックレスがめり込んでいくシーンでのこと。
子供の頃に観た時の記憶では赤い血に混じって黄色い液体が出てきて気持ち悪かった、
という風に覚えていたのだが、大人になって改めて観てみると、黄色い液体などは
もちろん描かれていなかった。
多分、よほど怖くて記憶すらおかしくなってしまっていたのだろう。