映像美で戦争の残酷さを見せる。
2020年12月24日 10時26分
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総合評価:
4.0
「地獄、または天国へ。速き旅人は常に独り。」劇中に出てくる将軍の言葉です。
2人の上等兵に命じられた伝令。チクタクチクタクと脳内で鳴っていました。
1600名もの同士を救う伝令を、その足だけで運んでいく、戦争映画。
ブレイク上等兵に命じられた命令。
「パートナーを探して行け。」隣に座っていたスコフィールドに手を伸ばし行くことになります。
次々に襲い掛かってくる敵の罠や事故は、苦痛の何物でもない。いつどこから敵のドイツ軍が仕掛けて来るか分からない野原で隠れる場所は、戦争によって壊された廃墟と、敵軍が残していった戦車だけ。
文章にすると悲しいし、実際、物扱いで、兵士の死体が無造作に存在します。
これが、戦争なのかと残酷さが際立ちますが、映像が美しい。
ワンカットという大々的な触れ込みよりも、残酷な行為と相反する映像美が他の戦争映画を違いました。
戦争が、いかに醜い行為なのかを美しいシーンで、より残酷に魅せるのです。
撮影したのは、巨匠ロジャー・A・ディーキンス撮影監督。無冠の帝王と呼ばれた監督が「ブレードランナー2049」で、アカデミー撮影賞を初受賞。
例えば、夜の廃墟、発光弾が打ち上げられる中走るスコフィールド、敵ともみ合いになり、口を塞ぎ首を絞めている奥で酔っ払った敵が千鳥足、人間はほぼ影で発光弾の光で周りはオレンジ色の真夜中、河の流れに観を任せている時にハラハラと舞ってくる桜の花びら。
ほとんど、2人しか出てきませんが、ちょっとのシーンに出てくる上官の皆さんが豪華キャストです。
戦争映画でストーリーが分かりやすいものの、TVモニターでも圧倒させる作品は観たことがありません。
ラストの演出には、まだ戦争は終わらないんだ、と愕然としました。
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